ファクタリング利用者の会 – 経営者同士の情報交換

ファクタリングを実際に利用した中小企業経営者が集まる情報交換の場。実体験に基づく手数料情報、業者比較、成功・失敗談を共有し、同じ悩みを持つ経営者同士で支え合います。

ファクタリングの法的位置づけを分かりやすく解説

こんにちは、「ファクタリング利用者の会」の佐藤です。
建設資材の卸売業を経営しています。

初めてファクタリングを検討したとき、正直に言って「これって法律的に大丈夫なのか?」「ヤミ金みたいなものじゃないのか?」と不安に思ったのを今でも覚えています。
経営者仲間からも、同じような声をよく聞きます。

そこで今回は、私自身の経験や集めた情報を基に、ファクタリングの「法的な位置づけ」について、難しい言葉をなるべく使わずに、経営者の目線で分かりやすく解説していきたいと思います。

この記事を読めば、ファクタリングがなぜ合法的なのか、そして安全に利用するためにどこに気をつければ良いのかが、きっとご理解いただけるはずです。
一緒に不安を解消していきましょう。

【結論】ファクタリングは「債権譲渡」という合法的な取引です

私も最初は不安でした…「融資」と「債権譲渡」の大きな違い

まず大前提として、ファクタリングは「借金」ではありません。
私も最初は、この点を誤解していました。

資金を調達するという点では同じですが、法的な性質が全く異なります。

  • 融資(借金):銀行などからお金を「借りる」契約です。これは「金銭消費貸借契約」と呼ばれます。
  • ファクタリング:会社が持つ「売掛金(将来お金を受け取る権利)」をファクタリング会社に「売る」契約です。これは「債権譲渡契約」と呼ばれます。

つまり、ファクタリングは資産である売掛金を売却して現金化する行為であり、負債が増える借金とは根本的に違うんですね。
この違いが、法的な位置づけを理解する上で最初の重要なポイントになります。

法的な裏付けは「民法」にあります

では、なぜその「債権譲渡」が合法だと言えるのか。
その根拠は、私たちの生活やビジネスの基本ルールを定めた「民法」という法律にあります。

難しい条文を引用するつもりはありませんが、簡単に言うと、国のルールブックである民法で「債権は、自由に譲り渡すことができますよ」と定められているのです。
(民法第466条)

ですから、ファクタリングは法律で認められた正当な経済活動の一つであり、安心して利用できるものなんですよ。

なぜ「怪しい」「違法」というイメージがあるのか?

「ヤミ金」との決定的な違いはここにある

合法なのは分かったけれど、それでも「怪しい」というイメージが拭えない方もいらっしゃると思います。
その一番の原因は、ファクタリングを装って近づいてくる「ヤミ金」の存在でしょう。

私の経営者仲間にも、危うく騙されそうになった人がいます。
両者の違いは明確なので、この機会にしっかり整理しておきましょう。

比較ポイント健全なファクタリングヤミ金(給与ファクタリング含む)
契約の種類債権譲渡契約金銭消費貸借契約
法的根拠民法貸金業法(無登録は違法)
手数料業界相場がある(1%~20%程度)法外な「手数料」という名の利息
返済義務償還請求権なし(売掛先が倒産しても返済不要)償還請求権あり(売掛先の状況に関わらず返済義務)
担保・保証人原則不要要求されることが多い

特に重要なのが「償還請求権」です。
本物のファクタリングは、売掛先が倒産してもそのリスクはファクタリング会社が負います。
しかしヤミ金は、どんな理由があろうと利用者本人に返済を迫ります。
これは実質的にお金を貸しているのと同じことなのです。

【要注意】給与ファクタリングは全くの別物です

ニュースなどで「ファクタリング業者が摘発された」という報道を見かけることがあります。
しかし、そのほとんどは個人向けの「給与ファクタリング」と呼ばれるものです。

これは、私たち事業者が利用するファクタリングとは全くの別物なので、混同しないように注意してください。

  • 事業者向けファクタリング:事業で発生した「売掛債権」を売買する(合法)
  • 給与ファクタリング:個人が受け取る「給与」を担保にお金を借りる(実質的なヤミ金)

金融庁も「給与ファクタリングは貸金業にあたる」と明確に注意喚起しています。
こうしたニュースを見て、「やっぱりファクタリングは危ないんだ」と誤解しないでくださいね。

経営者として知っておきたい!法改正でファクタリングはもっと使いやすくなった

2020年民法改正の大きなインパクト

実は、ファクタリングは最近の法改正によって、私たち中小企業にとってさらに使いやすいものになりました。
私自身がコロナ禍で初めてファクタリングを利用した2020年4月、ちょうどそのタイミングで民法が改正されたのです。

最大のポイントは、「債権譲渡禁止特約」が付いた売掛金でも、原則としてファクタリングが可能になったことです。

これまでは、取引先との契約書に「この売掛金は他人に譲渡してはいけません」という一文(譲渡禁止特約)があると、ファクタリングの利用が非常に困難でした。
しかし、法改正によってこの特約は無効となり、私たち事業者の資金調達の道が大きく開かれたのです。
これは本当に画期的な変化でした。

「注文書」段階でも資金調達できる可能性が広がった

もう一つ、この民法改正で「将来債権の譲渡」がより明確に認められるようになりました。
これは、まだ請求書を発行する前の「注文書」や「発注書」の段階で、将来発生するであろう売掛金を売却できる、ということです。

これにより、「注文書ファクタリング」といった新しいサービスも登場し、資金調達の選択肢が広がりました。

建設業界では、工事が始まる前の材料仕入れなどで大きなお金が必要になることがよくあります。
そんな時に、受注が決まった段階で資金を確保できる可能性があるというのは、本当に助かる変化ですよね。

安全なファクタリング利用のための法的チェックポイント

契約書で必ず確認すべき3つのこと

法律で認められているとはいえ、安全に利用するためには業者選びと契約内容の確認が不可欠です。
私が業者と契約する際に、必ずチェックしているポイントをお伝えします。

  1. 契約形態が「債権譲渡契約」になっているか
    「金銭消費貸借契約」になっていないか、必ず確認してください。ここが一番の基本です。
  2. 「償還請求権なし(ノンリコース)」と明記されているか
    万が一、売掛先が倒産した場合に返済義務を負わないことを示す、非常に重要な項目です。「ノンリコース契約」とも呼ばれます。
  3. 手数料の内訳が明確か
    基本手数料の他に、登記費用や印紙代、交通費など、何にいくらかかるのかが具体的に示されているかを確認します。不明瞭な点があれば、必ず契約前に質問しましょう。

信頼できる業者の法務体制の見抜き方

もう一つ、私が業者を信頼できるか判断する基準にしていることがあります。
それは、会社の法務体制です。

優良なファクタリング会社は、コンプライアンス(法令遵守)を重視しており、弁護士と顧問契約を結んでいることが多いです。

会社のウェブサイトに、顧問弁護士の名前や法律事務所名がきちんと記載されているか。
これは、その会社が法律に則ってきちんと事業を運営しようとしている姿勢の表れだと、私は考えています。
一つの判断材料として、チェックしてみてはいかがでしょうか。

よくある質問(FAQ)

Q: 手数料が高すぎると感じたら、それは違法ではないのですか?

A: 良い質問ですね。
ファクタリングは貸金ではないため、利息制限法が適用されません。
そのため、手数料の上限は法律で明確に決まっていないのが現状です。

しかし、業界にはある程度の「手数料相場」というものが存在します。
一般的に、2社間ファクタリングなら10~20%、3社間ファクタリングなら1~9%程度と言われています。
この相場から著しくかけ離れた法外な手数料を提示された場合は、悪質な業者の可能性が高いので、契約は見送るべきでしょう。

Q: 契約書に「債権譲渡登記が必要」と書かれていました。これは何ですか?

A: 債権譲渡登記とは、その売掛金が確かにあなたの会社からファクタリング会社へ譲渡されたことを、法的に証明するための公的な手続きです。
特に2社間ファクタリングで、ファクタリング会社がリスクを避けるために要求することがあります。

法的に問題のある手続きではありませんが、登記費用が別途かかる場合があるので、契約前に手数料に含まれるのか、別途必要なのかを確認することが大切です。

Q: 取引先に「債権譲渡禁止特約」があるのですが、本当にファクタリングできますか?

A: はい、先ほどお話しした通り、2020年の民法改正によって、譲渡禁止特約があっても債権譲渡は原則として有効になりました。
ですから、法的にはファクタリングが可能です。

ただし、法律とは別に、取引先との今後の関係性をどう考えるかという経営判断は必要になります。
もし心配な場合は、取引先に知られずに利用できる2社間ファクタリングを選ぶのが一般的です。
私も最初は、取引先との関係を考慮して2社間から始めました。

Q: もしトラブルになったら、どこに相談すれば良いですか?

A: 万が一、悪質な業者とトラブルになってしまった場合は、一人で悩まずに専門家に相談してください。
まずは弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談するのが一番です。

また、金融庁の「金融サービス利用者相談室」や、各地の消費生活センターでも相談に乗ってくれます。
ファクタリングを装ったヤミ金被害の場合は、ためらわずに警察に相談することも重要です。

Q: 個人事業主でも、法人と同じように法的に問題なく利用できますか?

A: はい、もちろん利用できます。
個人事業主の方でも、事業で発生した売掛債権であれば、法人と全く同じように法的に問題なくファクタリングを利用できます。
私の経営者仲間にも、一人親方として建設業を営んでいて、ファクタリングを活用して急場をしのいだ方がいますよ。

まとめ

今回は、ファクタリングの法的な位置づけについて、私の経験を交えながらお話ししました。
最後に、今日のポイントをまとめておきましょう。

  • ファクタリングは民法で認められた「債権譲渡」という合法的な取引であり、借金ではない。
  • 「給与ファクタリング」は全くの別物で、実質的なヤミ金なので混同しないこと。
  • 2020年の民法改正で、私たち中小企業にとってさらに利用しやすくなった。
  • 安全に利用するには、契約書で「債権譲渡契約」「償還請求権なし」を必ず確認すること。
  • 悪質な業者もいるため、信頼できる業者を慎重に選ぶことが何よりも重要。

法律を正しく理解し、押さえるべきポイントさえ押さえれば、ファクタリングは資金繰りの悩みを解決してくれる、経営の心強い味方になります。

この記事が、皆さんの会社経営の一助となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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