ファクタリング利用者の会 – 経営者同士の情報交換

ファクタリングを実際に利用した中小企業経営者が集まる情報交換の場。実体験に基づく手数料情報、業者比較、成功・失敗談を共有し、同じ悩みを持つ経営者同士で支え合います。

銀行融資とファクタリングのベストミックス〜我が社の資金調達ポートフォリオ〜

こんにちは。
「ファクタリング利用者の会」の佐藤です。

私は横浜で、建設資材の卸売業を20年近く営んでおります。

経営者の皆さん、資金繰りには本当に日々、頭を悩ませますよね。
特に我々の建設業界は、支払いサイトが長く、急な案件で大きな資金が必要になることもしばしばです。

「銀行から追加融資を受けるべきか…でも審査に時間がかかるし…」
「ファクタリングは早いが、手数料がどうも引っかかる…」

こんな風に、私も何度も同じ場所で頭を抱えてきました。
しかし、長年の試行錯誤の末にたどり着いたのが、銀行融資とファクタリングを敵対させるのではなく、それぞれの長所を活かして組み合わせる「資金調達のポートフォリオ」という考え方です。

この記事では、私の会社、サトウ商事の実例を交えながら、この「ベストミックス」について、包み隠さずお話ししたいと思います。
資金調達の一つの答えとして、きっと皆さんのヒントになるはずです。

まずは基本から。銀行融資とファクタリング、何が違うのか?

「今さら聞けない」という方もいらっしゃるかもしれませんので、まずは私の言葉で基本を整理させてください。
ここを正確に理解することが、ベストミックスを考える上で最も重要な第一歩になります。

性質の違い:借金と資産の売却

一番の根本的な違いは、その性質にあります。

  • 銀行融資:これは分かりやすく「借金(負債)」です。会社の信用を元にお金を借り、利息を付けて返済します。
  • ファクタリング:これは「売掛金という資産の売却」です。 未来に入ってくるはずのお金を、手数料を払って先に買い取ってもらう取引なんですね。

私の経験上、この違いを意識するだけで、精神的な負担も大きく変わってきます。
「借りる」のではなく「売る」という感覚ですね。

審査の視点:自社の信用力 vs 取引先の信用力

お金を調達する際に、誰の「信用」が評価されるのかも全く異なります。

銀行融資の場合、銀行は当然、私たちの会社の返済能力、つまり「自社の信用力」を厳しく見ます。
決算書の内容や事業計画が重要になるわけです。

一方で、ファクタリング会社が見るのは「売掛先(取引先)の支払い能力」です。
極端な話、自社が赤字決算であっても、売掛先が優良企業であれば利用できる可能性が高いのです。
コロナ禍で業績が落ち込んだ際に、この仕組みに助けられたという仲間の経営者の話もよく聞きます。

スピードとコストの比較表

ここでは、具体的な数字を交えて比較してみましょう。
感覚だけでなく、数字で見ることで、より冷静な判断ができます。

項目銀行融資ファクタリング私の会社の例
スピード1ヶ月〜2ヶ月最短即日〜数日緊急時はファクタリングが頼りです
コスト金利(年1〜5%程度)手数料(3〜15%程度)状況に応じて使い分けています
信用情報影響あり(借入履歴)影響なし(売買取引)メインバンクとの関係は最重要です
返済義務あり原則なし(ノンリコース)回収不能リスクを回避できます

【具体例】我が社(サトウ商事)の資金調達ポートフォリオを公開します

ここからは、少し恥ずかしいですが、私の会社、サトウ商事の実際のポートフォリオをお見せします。
もちろんこれが唯一の正解ではありませんが、一つのモデルケースとして参考にしていただければ幸いです。

主軸は銀行融資:安定的な運転資金と信用の構築

我が社では、資金調達の土台として、メインバンクから5,000万円の融資枠を確保しています。
これは、日々の安定的な運転資金を確保するためです。

何より、金利が低いのが魅力ですし、銀行との取引実績をコツコツ積み重ねることが、長期的な会社の信用につながると私は考えています。
そのため、四半期に一度は試算表を持って銀行の担当者と面談し、会社の状況を報告することを欠かしません。
この地道な関係構築が、いざという時に活きてくるんです。

補完役としてのファクタリング:機動性とリスクヘッジ

一方で、ファクタリングは年に6〜8回ほど、いわば「助っ人」としてスポット的に活用しています。

例えば、年度末の建設ラッシュ前に仕入れ資金が急に必要になった時。
あるいは、ある取引先からの入金が遅れ、キャッシュフローが一時的に厳しくなった時。
そんな「今、このタイミングで資金が欲しい!」という短期的なニーズに、ファクタリングのスピード感が完璧に応えてくれるのです。

もちろん手数料はかかりますが、ビジネスチャンスを逃さないための「必要経費」、あるいは不測の事態に備える「保険料」と捉えています。

【ケース別】こんな時どうする?佐藤流・銀行融資とファクタリングの使い分け術

理屈は分かっても、実際の場面でどう判断すれば良いか迷いますよね。
私が実際に経験したケースを基に、使い分けの判断基準をお話しします。

ケース1:平常時の運転資金

これは迷わず銀行融資です。
日々の運営資金を、手数料の高いファクタリングで賄うのは現実的ではありません。
安定したキャッシュフローの基盤は、低金利の銀行借入でしっかりと固めるべきです。

ケース2:大型案件受注による急な仕入れ資金

これはファクタリングの出番です。
銀行融資の審査を待っていては、せっかくの大型案件をみすみす逃しかねません。

売上が立つことが確実なわけですから、手数料を払ってでもスピーディーに資金を確保し、機会損失を防ぐことを最優先します。
この判断の速さが、会社の成長を左右することもあるのです。

ケース3:取引先の支払い遅延・倒産リスク

コロナ禍で私も経験しましたが、これはまさにファクタリングが輝く場面です。
特に「償還請求権なし(ノンリコース)」の契約であれば、万が一取引先が倒産しても、私たちがファクタリング会社に返済義務を負うことはありません。

これは単なる資金調達ではなく、貸し倒れリスクをファクタリング会社に移転する「リスクヘッジ」でもあるのです。
まさに資金繰りの保険と言えるでしょう。

よくある質問(FAQ)

仲間の経営者からよく聞かれる質問や、私自身が利用前に疑問に思ったことをQ&A形式でまとめました。

Q: ファクタリングの利用は、銀行に知られて融資に影響しませんか?

A: 私の経験上、取引先に通知のいかない「2社間ファクタリング」であれば、基本的に銀行に知られることはありません。
ただし、決算書を見れば売掛金の増減で推測される可能性はゼロではありません。
大切なのは、ファクタリングに頼りきりになるのではなく、銀行とも良好な関係を築き、事業が順調であることをきちんと説明できる状態にしておくことだと考えています。

Q: 銀行融資とファクタリング、どちらを先に検討すべきですか?

A: 時間に余裕があるなら、まずは銀行融資を検討すべきです。
コストが圧倒的に低いですからね。
しかし、「1週間以内に資金が必要」といった緊急性が高い場合は、ファクタリングが有力な選択肢になります。
資金が必要なタイミングから逆算して考えるのが良いでしょう。

Q: 手数料が高くてもファクタリングを使うメリットは何ですか?

A: 「時間を買う」「機会損失を防ぐ」「貸し倒れリスクを回避する」という3つの大きなメリットがあります。
例えば、手数料50万円を払って1,000万円の案件を無事にこなし、100万円の利益が出たとすれば、それは十分に価値のある投資だったと私は考えます。
目先の手数料だけでなく、その先にある利益やリスク回避という視点を持つことが重要です。

Q: 悪質なファクタリング業者に騙されないか心配です。

A: その心配は非常によく分かります。
私も最初は不安でした。
重要なのは、複数の業者から相見積もりを取ること、契約内容を隅々まで確認すること、そして何より、私のような利用者の口コミや評判を参考にすることです。
法外な手数料を請求したり、実態は貸金業であったりする悪質な業者も残念ながら存在します。
このブログも、そうした皆さんの不安を解消する一助になればと願っています。

Q: 建設業特有の注意点はありますか?

A: はい、建設業は工事の完成まで入金がない「請負契約」が基本なので、資金の立て替え期間が長くなりがちです。
そのため、工事の進捗に合わせて資金調達できるファクタリングは非常に相性が良いと言えます。
ただし、元請けとの関係性を考慮し、取引先に通知のいかない「2社間ファクタリング」を選ぶ経営者が多いですね。
また、建設業に特化したファクタリング会社を選ぶと、業界の慣習を理解してくれているので話がスムーズに進むことが多いです。

まとめ

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

銀行融資とファクタリングは、どちらが優れているというものではなく、それぞれに得意な役割があります。
最後に、本日の要点をまとめさせてください。

  • 銀行融資は「土台」:低コストで安定的な運転資金を確保し、会社の信用を築くための主軸です。
  • ファクタリングは「助っ人」:急な資金需要やリスクヘッジに対応する、機動的な補完役です。
  • 性質の違いを理解する:「借金」と「資産売却」という根本的な違いを理解することが第一歩です。
  • 目的で使い分ける:資金が必要な「目的」と「緊急度」に応じて、最適な手段を冷静に選択しましょう。

会社の状況や資金が必要な目的に合わせて、両者をうまく組み合わせる「ポートフォリオ」の視点を持つことが、厳しい時代を乗り越える鍵だと私は確信しています。

大切なのは、自社の財務状況を正確に把握し、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、冷静に判断することです。
この記事が、皆さんの会社の資金繰りを考える上での一つのヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。

皆さんの会社では、どのような工夫をされていますか?
ぜひコメントでご意見をお聞かせください。
一緒に考えていきましょう。

Latest Posts