「ファクタリング利用者の会」の佐藤です。
皆さん、こんにちは。
最近の燃料費の高騰は、我々のような中小企業にとって本当に頭の痛い問題ですよね。
特に、コストに占める燃料費の割合が大きい運送業界の経営者の方々は、日々厳しい状況に置かれているのではないでしょうか。
実は先日、運送会社を経営している長年の友人、鈴木さん(仮名)から、まさにその燃料費高騰が原因で資金ショート寸前まで追い込まれたものの、ある方法で見事に乗り切ったという、非常に興味深い話を聞きました。
今回は、同じ悩みを抱える多くの経営者の皆さんのヒントになるかと思い、鈴木さんの許可を得て、そのリアルな体験談を共有させていただきます。
この記事を読めば、危機的な状況を乗り越えるための一つの具体的な選択肢を知ることができます。
関連記事:建設業界のファクタリング活用術〜季節変動と長期サイトへの対応〜
目次
まさに死活問題!燃料費高騰が運送業の経営を直撃する仕組み
数字で見る燃料費の衝撃的な上昇
まずは客観的な数字から見ていきましょう。
資源エネルギー庁の調査によると、軽油の全国平均価格はここ数年で大きく上昇しています。
例えば、1リットル140円台だったものが、あっという間に160円を超える水準になりました。
仮に、トラック1台が月に3,000リットルの軽油を使うとします。
1リットルあたり20円値上がりしただけで、月間の燃料費は6万円も増加します。
もしトラックを10台保有していれば、それだけで月60万円、年間で720万円もの利益が吹き飛んでしまう計算です。
これは、もはや企業努力だけで吸収できる範囲を超えていますよね。
なぜ運送業は特に打撃が大きいのか?
ご存知の通り、運送業は売上に対して燃料費が占める割合が非常に高いビジネスモデルです。
それに加えて、業界の構造的な問題も経営を圧迫します。
私の周りの運送業の経営者もよく口にしますが、荷主さんとの力関係から、コストが上がった分をすぐに運賃へ転嫁させてもらうのが難しいのが実情です。
- 「来月から運賃を上げてください」と簡単には言えない。
- 競合他社との価格競争も厳しい。
- 長年の付き合いがある荷主には、なおさら言い出しにくい。
結果として、利益のほとんどが燃料費に消えていき、「仕事はあるのに儲からない」という苦しい状況に陥ってしまうのです。
仲間の経営者、鈴木社長が陥った「静かなる資金ショート」の恐怖
「仕事はあるのに、金がない」負のスパイラルの始まり
ここからは、私の友人である鈴木社長の実例をお話しします。
彼の会社は、年商約1億円、従業員10名ほどで、地場の中距離輸送をメインに堅実な経営を続けていました。
しかし、先ほどお話しした燃料費の高騰が、彼の会社のキャッシュフローを静かに、しかし確実に蝕んでいきました。
仕事は順調にあり、請求書も発行している。
売上は立っているはずなのに、燃料の支払いが先に出ていくため、通帳の残高はどんどん減っていく。
鈴木さんは「まるで静かに首を絞められるような、本当に生きた心地がしない毎日だった」と語っていました。
これは、多くの中小企業経営者が経験する可能性のある、典型的な黒字倒産の危機です。
銀行融資では間に合わない「スピード」の壁
資金繰りに窮した鈴木さんが、まず考えたのは当然、取引銀行からの追加融資でした。
しかし、皆さんもご経験があるかもしれませんが、銀行の融資には時間がかかります。
審査には早くても数週間、場合によっては1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
さらに、利益が大幅に減少している決算状況では、希望額の融出を受けるのは難しいのが現実です。
支払期日は刻一刻と迫ってきます。
鈴木社長にとって必要なのは、悠長な審査を待つことではなく、「今すぐ」のお金だったのです。
私が鈴木社長に伝えた「ファクタリング」という選択肢
「手数料は痛いが、倒産よりはマシだ」という決断
途方に暮れる鈴木さんの話を聞いて、私は自身の経験からファクタリングを提案しました。
ファクタリングとは、簡単に言えば「入金待ちの請求書(売掛債権)を専門の会社に買い取ってもらい、早期に現金化する」サービスです。
融資ではないため、審査のスピードが早く、会社の信用情報にも影響しません。
もちろん、鈴木さんは当初「手数料が高いんじゃないか?」「なんだか怪しいサービスではないか?」と懸念していました。
その気持ちは、私も初めて利用した時には同じだったので、よく分かります。
私は彼にこう伝えました。
「もちろん、手数料は決して安くはない。でも、これは単なるコストではなく、会社を倒産させないための、事業を継続するための保険料だと考えてみてはどうか」と。
2社間ファクタリングを選んだ理由
鈴木社長が最終的に選んだのは、取引先に知られずに資金調達ができる「2社間ファクタリング」でした。
ファクタリングには、主に2つの種類があります。
- 2社間ファクタリング: 利用者とファクタリング会社の2社間だけで契約が完結する。取引先に知られないのが最大のメリット。
- 3社間ファクタリング: 利用者、ファクタリング会社、そして取引先(売掛先)の3社間で契約する。取引先の協力が必要だが、手数料は安い傾向にある。
運送業にとって、荷主さんとの信頼関係は何よりも大切です。
鈴木さんは、資金繰りに困っていることを知られて余計な心配をかけたくない、という思いから2社間を選択しました。
この判断は、会社の状況や取引先との関係性によって変わるため、どちらが良いと一概には言えません。
鈴木さんにとっては、これが最善の選択だったのです。
参考:運送業ファクタリング
ファクタリング活用で得られた、資金以上の3つのメリット
1. キャッシュフロー改善と精神的安定
ファクタリングを利用したことで、鈴木社長はまず、当面の支払いに必要だった数百万円を数日で手に入れることができました。
燃料費や従業員の給料を滞りなく支払えたことで、キャッシュフローは劇的に改善しました。
しかし、彼が何よりも大きいと感じたのは「支払いの目処が立った」という精神的な安心感だったそうです。
夜も眠れないほどのプレッシャーから解放され、冷静に次の手を考える余裕を取り戻すことができたのです。
2. 荷主との運賃交渉に臨む「時間的猶予」
目先の資金繰りに追われなくなると、不思議と視野が広がるものです。
ファクタリングで得た「時間」を使って、鈴木社長はすぐに行動を起こしました。
燃料サーチャージ(燃料価格の変動に応じて運賃に上乗せする料金)の導入に向けて、客観的なデータや説得力のある資料を作成し、準備を整えたのです。
そして、余裕を持った状態で複数の主要な荷主との交渉に臨み、見事に運賃への価格転嫁を一部実現させました。
もし資金繰りに窮したままだったら、こんな冷静な交渉はできなかったでしょう。
3. 新たな資金調達の選択肢という「経営の武器」
今回の経験を通じて、鈴木社長は銀行融資以外の資金調達手段があることを、身をもって知りました。
これは、今後の経営において非常に大きな意味を持ちます。
「いざという時には、ファクタリングというカードも切れる」
この事実が、彼の経営者としての自信につながり、より攻めの経営判断を下すための土台になったそうです。
よくある質問(FAQ)
Q: 運送業ですが、どんな売掛金でも買い取ってもらえますか?
A: 基本的に、取引先が法人であれば多くの売掛債権が対象になります。
運送業は企業間取引(BtoB)が中心なので、ファクタリングと相性が良い業界だと言われていますね。
ただし、取引先の信用力によっては買い取りが難しい場合もあるため、まずは複数のファクタリング会社に相談してみるのが良いでしょう。
Q: 荷主(取引先)にファクタリングの利用を知られて、関係が悪化しませんか?
A: そのリスクを避けるために、先ほどお話しした「2社間ファクタリング」という方法があります。
この方法なら、利用者とファクタリング会社の2社間だけで契約が完結するため、原則として取引先に通知されることはありません。
私の周りでも、多くの運送業者がこの方法を利用していますよ。
Q: 手数料が高くて、結局は資金繰りを悪化させることになりませんか?
A: 確かに手数料は発生しますが、それは資金を早期化するためのコストです。
例えば、資金ショートで倒産してしまうリスクと比較すれば、事業を継続するための必要経費と捉えることもできます。
大切なのは、手数料を払ってでも得たいメリット(黒字倒産の回避、ビジネスチャンスの獲得など)があるかどうかを冷静に判断することです。
私の経験上、緊急時の一時的な利用と割り切ることが重要だと考えています。
Q: 銀行融資とファクタリング、どう使い分ければ良いですか?
A: 私の考えでは、金利が低く長期的な運転資金の確保には銀行融資、急な資金需要や短期のつなぎ資金にはスピードを重視してファクタリング、という使い分けが基本です。
会社の状況や、なぜ、いつまでにお金が必要なのかによって、最適な選択は変わってきます。
両方の特徴を理解し、選択肢として持っておくことが大切ですね。
Q: 悪質なファクタリング業者に騙されないか心配です。
A: 非常に重要なご指摘です。
残念ながら、中には悪質な業者も存在します。
見分けるポイントとしては、
- 契約書の内容を丁寧に説明してくれるか
- 手数料が法外に高くないか(事前に相場を調べる)
- 会社の所在地や連絡先が明確か
- 償還請求権(※取引先が倒産した場合に利用者が返済義務を負う契約。実質的な貸付にあたる可能性があり注意が必要)がないか
などが挙げられます。
何よりも大切なのは、必ず複数の会社から見積もりを取り、比較検討することです。
焦って1社に決めないでください。
まとめ
今回は、私の友人である運送会社の鈴木社長が、燃料費高騰という危機をファクタリングで乗り切った実例をご紹介しました。
彼の話からわかるのは、予期せぬ外部環境の変化によって、どんなに堅実な経営をしていても資金繰りの問題は起こりうるということです。
そして、そのような緊急時に、銀行融資以外の選択肢を知っているかどうかが、会社の未来を大きく左右する可能性があるということです。
もちろん、ファクタリングは万能薬ではありませんし、手数料というコストもかかります。
しかし、事業を継続するための「時間」と「精神的余裕」を買う有効な手段となり得るのです。
この記事が、今まさに同じような苦境に立たされている経営者の皆さんにとって、少しでも希望の光となれば幸いです。
皆さんのご経験も、ぜひコメントでお聞かせください。
一緒にこの困難な時代を乗り越えていきましょう。